VAST Data、信頼できるインフラ上で主要AIモデルと企業データを結び付ける「VAST DataEnclave」を発表
AIオペレーティングシステム企業であるVAST Data(本社:米国ニューヨーク、Founder & CEO:Renen Hallak)は2026年9月22日(現地時間)、VAST DataEngineのコンフィデンシャルAI機能であるVAST DataEnclaveを発表しました。NVIDIA Confidential Computingを基盤とし、主要なAIモデルビルダー、AIクラウド、AIセキュリティ、主要AIハードウェアベンダーを含むエコシステムパートナーの支援を受けています。
VAST DataEnclaveは、顧客のデータセンター内や信頼できるクラウドハードウェア上での展開を可能にします。これまで主要AIモデルを動作させられなかった環境も対象に含まれます。
VAST DataはNVIDIAおよびパートナーとの協業により、さまざまなモダリティにわたる独自モデルとオープンモデルを、世界で最も機密性の高いデータのもとへ届けます。顧客はコスト、性能、モデルの選択、データプライバシーを自ら管理でき、モデルビルダーはこれまで提供できなかった環境にリーチできるようになります。
背景
金融サービス、ヘルスケア、政府機関をはじめとする規制の厳しい業界では、世界で最も価値の高いデータの一部が厳格に管理された環境の内側に留まっています。そうしたデータを外部のAIサービスへ移すことは、現実的でないか、そもそも禁じられています。
ここにAIの根本的な課題があります。機密性の高いデータは、主要モデルが動作する場所へ移せず、一方でモデルビルダーは、信頼していないインフラに独自モデルを配布できません。
VAST DataEnclaveは、VAST AI Operating Systemを拡張し、ハードウェアで分離されたセキュアなランタイムと暗号学的アテステーションによってこれを解消します。独自モデルや機密データといった保護対象の資産は、環境と適用されているポリシーが検証された後に初めて復号され、解析のためコンテナへ読み込まれます。処理中はCPUメモリとGPUメモリの内部で保護され、顧客のデータ鍵は顧客の管理下に、モデルの鍵と重みはモデルビルダーの信頼ドメイン内に留まります。処理中、インフラの運用者や管理者はそのいずれにもアクセスできません。
今回の発表は、企業が自社環境内に展開できる先進モデルの選択肢を広げるとともに、VASTが掲げるAI Operating Systemの構想を前進させるものです。この構想では、モデルはインフラの上に載る単なるアプリケーションではなく、データと並ぶ論理的なリソースとして管理されます。
企業が用途ごとに適した専門モデルのエコシステムを採用していくなかで、モデルは価格も信頼レベルもそれぞれ異なります。そのためAI OSには、適切なタスクに適切なモデルを組み合わせ、環境をまたいでモデルを統制する役割が求められます。どこで実行するのか、どのデータにアクセスできるのか、誰が利用できるのか、どのポリシー下で動作するのかを決める役割です。企業が自らモデルをファインチューニングし、エージェントが対話から専門的な知見を生み出すようになるにつれ、モデルの重みは企業の新たな知的財産の型となります。その結果、大規模かつ安全な管理は、オペレーティングシステムの重要な機能になっていきます。
「モデルは、データと同じようにオペレーティングシステムが管理しなければならないリソースになりつつあります。つまり、どのモデルがどのタスクに適しているのか、そのモデルは何を参照できるのか、誰が使えるのか、どのようなルール下で使えるのかを把握し、それらすべてを、企業が他のあらゆる対象に適用しているのと同じセキュリティおよび運用で行うということです。主要AIモデルを世界で最も機密性の高いデータのもとへ安全に届けることが、その出発点です。行き着く先は、あらゆる組織が自社の真の知的財産となるファインチューニング済みモデルのエコシステムを運用する世界です。VAST AI Operating Systemは、それらを安全に、統制された状態で、役立つ形に保ち続けるための基盤です」
VAST Data Founder & CEO
レネン・ハラック(Renen Hallak)
機密データのもとへAIを届ける
従来の暗号化は、モデルの重みが保存時とネットワーク上を移動する間を保護します。コンフィデンシャルコンピューティングは暗号化の範囲を広げ、実行中のデータも保護します。
NVIDIA Confidential Computingは、Hopper、Blackwell、Rubinと世代を重ね、現在は第3世代を迎えています。ワークロードが検証されセキュアエンクレーブが確立された後にのみ、機密データとモデルが実行時に解放される仕組みです。
VAST DataEnclaveはNVIDIA Confidential Computingを用いて、VAST DataEngine内にセキュアなコンテナランタイムとアテステーションサービスを直接構築します。独自モデルは、CPUとGPUの信頼された実行環境によって確立されたセキュアエンクレーブの内部で実行されます。
主な機能
ハードウェアによる分離実行:コンフィデンシャル仮想マシンとコンテナの内部でワークロードを保護します。NVIDIA Confidential Computingを用いてゲストメモリ、GPUメモリ、NVLinkの通信を暗号化し、稼働中のデータとモデルを、インフラの運用者、管理者、同一ハードウェアを共有する他テナントから分離します。
復号前の検証(Verify-Before-Decrypt):NVIDIA GPUのアテステーションを含め、信頼された実行環境を暗号学的に検証したうえで復号鍵を解放します。これにより、保護対象の資産は信頼された環境で動作する承認済みワークロードからのみアクセス可能になります。
独立した鍵管理:Key Management System(KMS)連携により、企業とモデルビルダーがそれぞれの信頼ドメイン内で自らの鍵を保持できます。各当事者が自社の資産に対してポリシーを管理、適用します。重要な知的財産となりつつある企業独自のファインチューニング済みの重みも、モデルビルダーのベースとなる重みと同様に保護されます。
接続環境とエアギャップ環境の両対応:DataEnclaveの展開において、接続された環境と完全にエアギャップされた環境の双方に対応します。アテステーションサービスはオープンなCNCF Trusteeスタックを基盤とするもの、またはFortanixとの協業によるConfidential AIインフラを用いた完全なソブリンAI構成を選択できます。
設計段階からの統制と監査性:アテステーションのイベント、鍵の解放、エンクレーブのライフサイクル動作を、VAST DataBase内の改ざん防止された検索可能な監査ログに記録します。保護対象のデータや重みを露出させることなく、何が、どこで、どの検証済みポリシーの下で実行されたかを可視化します。
エージェント向けのセキュアサンドボックス:DataEngineのセキュアランタイムが、VAST AgentEngineを通じてAIエージェント向けの分離実行環境を提供します。エージェントがアクセスできるデータ、システム、ツール、および実行できる操作に対してポリシーを適用します。エージェントは人と異なり自らの行動に責任を負えないため、アイデンティティ、隔離されたランタイム、そして各エージェントがいつ・どのように・なぜ行動したかを把握できる可観測性、さらに問題が生じた際の監査性が必要になります。
「モデルの重みは、世界で最も価値の高い知的財産になりつつあります。ベースとなる重みがフロンティアモデルの価値を決め、ファインチューニング済みの重みは、AIを駆使する企業の独自の知性をますます体現していきます。重要性が大きくなるほど、企業データを保護する必要性も高まります。最も高度なAIモデルをそのデータに適用できるようにするためです。VAST DataはNVIDIAとの協業により、これまで信頼できなかったコンピューティング環境を検証し、あらゆるモデルをあらゆるデータに対してどこでも実行できるようにする包括的なアプローチで、業界を前進させます」
VAST Data Co-Founder
ジェフ・デンワース(Jeff Denworth)
VAST DataEnclaveは、AIモデルと機密データが処理されるインフラ全体にコンフィデンシャルな実行環境を広げ、ハードウェアによる分離と検証可能なアテステーションを組み合わせて、利用中の両者を保護します。
「正確で実用的なAIには、企業データが不可欠です。そしてエージェントの時代に知的財産を守るうえで、業務データの機密性を保つことは極めて重要です。VAST DataによるNVIDIA Confidential Computingの統合は、企業とモデルビルダーの双方に保護をもたらし、セキュリティ、アイデンティティ、権限、ガバナンス、コンプライアンスをエージェントアーキテクチャの基盤として提供します」
NVIDIA Vice President of Enterprise AI
Justin Boitano
動画 : 「How VAST and NVIDIA Are Delivering Confidential AI」
{un}bounded AIを支えるエコシステム
VASTは、モデルビルダー、AIクラウド、AIセキュリティ、インフラベンダーを、顧客が管理する環境のための共通アーキテクチャのもとに集めています。顧客はこれまでクラウドホスト型モデルへのアクセスを断たれることなく、自社のAI戦略を実行できます。また新たに利用可能となったこれらのモデルを自らの設計に取り込み、コストやセキュリティなどの運用上の課題を管理できます。
モデルビルダーのコメント
「世界中の顧客は、それぞれ固有の規制要件と主権要件を抱えており、保存時だけでなく通信中および推論中も含めたエンドツーエンドで暗号化されたAIを求めています。Cohereは以前からコンフィデンシャルコンピューティングを重視してきました。VASTとの協業により、顧客が展開を選ぶあらゆるデータセンターに、同等のセキュリティとガバナンスを届けられるようになります。両社で構築するコンフィデンシャルコンピューティング戦略は、顧客により多くの選択肢と管理権をもたらします。顧客は当社のモデルと、それらをもとにNorth上で構築したエージェントを、データが既に存在する場所、つまり自社のインフラ、自国の法域、自社のルールの下で実行できます」
Cohere Chief Revenue and Commercial Officer
Frank O’Dowd
「CrowdStrike SafeMindのモデルは、サイバーセキュリティ専業企業として世界最大のデータセットで学習しており、その知見は周囲に築かれた信頼の上に成り立っています。規制業界の担当者は、これらのモデルを自社の境界の内側で最も機密性の高いデータに適用したいと考えています。その際、データの管理権を維持し、モデル自体も保護したいと望んでいます。VASTのアテステーションに基づくアプローチは、検証済みの環境でモデルの重みと企業データを結び付けながら、双方を保護し、それぞれの所有者の管理下に留めます。最も重要な局面でフロンティアのセキュリティモデルを活用するには、これが必要です」
CrowdStrike Chief AI and Autonomous Systems Officer
Bartley Richardson
「音声AIは本質的にリアルタイムであり、規制業界を含む多くの企業ユースケースでは、性能と機密データの管理が決定的に重要です。企業が、成立する会話と、その背後にあるデータおよびモデルの管理権のどちらかを選ばなければならない状況は避けるべきです。Deepgramは、音声データを自社環境内に留める必要のある組織に向けて、すでにセルフホスト型の展開に対応しています。VAST DataEnclaveは、そうした顧客が自ら管理するインフラ上で本番環境の音声AIを動かすもう一つの選択肢となり、これらのアプリケーションが依存するレイテンシとスループットを損なうことなく、利用中のモデルとデータを保護します」
Deepgram CEO
Scott Stephenson
「ソースコードは、企業にとって最も機密性の高い資産の一つです。VAST DataEnclaveは、顧客がFactoryのコーディングエージェントを、信頼でき自ら管理する環境で実行する道を開きます。コードと実行時の状態は自社ネットワーク内に留まります。これにより、セキュリティとデータ主権が譲れない条件となる規制対象システムや重要システムでも、フロンティアのコーディングエージェントが現実的な選択肢になります」
Factory Co-founder and CTO
Eno Reyes
「世界で最も機密性の高いデータは、表の中にあります。コンフィデンシャルコンピューティングは、信頼を約束から証明へと変えます。それが、規制業界がAIを試行できるにとどまるか、実際に本番投入できるかの違いです。その保証は当社の言葉ではなく、アーキテクチャそのものから生まれます。FundamentalのLarge Tabular Model(大規模表形式モデル)「NEXUS」は、銀行や医療システムのインフラの内部で直接動作させることができます。密閉された実行環境の中で、当社のモデルと顧客の記録はどちらの側にも露出しません。これまで到達できなかった環境で機能します」
Fundamental CEO
Jeremy Fraenkel
動画 : 「Introducing VAST DataEnclave」
ソブリンAIクラウドへの展開
VAST DataEnclaveは、世界のAIクラウドプロバイダーが、アテステーション済みのソブリン環境を提供することも可能にします。モデルビルダー、企業、政府機関は、自国の法域内で知的財産とデータの管理権を保持できます。分離はハードウェアで強制されるため、ソブリンクラウドや地域AIクラウドは、1テナントに1台のマシンを専有させることなく検証可能な信頼を確立でき、NVIDIA Vera Rubinインフラなどの最新のアクセラレーテッドコンピューティングシステムを自国内の施設から提供できます。
「信頼されるAIインフラプロバイダーとして、Sharon AIは、安全でスケーラブルかつソブリンなAIコンピュートを必要とするすべての組織に届けるために存在しています。オーストラリアおよびアジア太平洋地域の顧客は、データ主権を損なうことなくAIを全速力で動かす必要があり、近年はこれまで国外でしか利用できなかったフロンティアモデルへのアクセスも求めています。VASTとのソブリンなデータ基盤の上にDataEnclaveを構築することで、これらのモデルを国内でホストできます。アテステーション済みの環境の内側で、モデル所有者の重みと顧客のデータの双方が、当社を含むあらゆる主体から保護されます。顧客は自らの条件で運用でき、宣言するだけでなく実証できる主権に裏付けられます」
Sharon AI CEO and Co-founder
James Manning
OEMパートナーのコメント
今回のVAST AI OSの新機能は、信頼された実行環境、アクセラレーテッドコンピューティング、VASTを基盤とするデータインフラを組み合わせた統合型コンフィデンシャルAIインフラを提供する機会を、OEMにもたらします。
「最も高性能なAIモデルを機密性の高い企業データのもとへ届けるには、インフラ全体にわたる信頼が必要です。Cisco Secure AI Factory with NVIDIAは、セキュアで検証済みのコンピュート、ネットワーク、セキュリティ、データインフラを組み合わせ、顧客がより高い確信と管理性をもってAIを本番投入できるようにします。VAST DataEnclaveにより、この基盤を最も機密性の高いワークロードや規制環境にまで広げられます。顧客は、データを残しておく必要がある場所で、使いたいモデルをより自由に利用できるようになります」
Cisco Compute Senior Vice President and General Manager
Jeremy Foster
「Supermicroは、高度なAIを大規模に実用化するために必要なコンピュート、ストレージ、ネットワーク、冷却、インフラの専門性を統合しています。VASTおよびNVIDIAとの協業により、NVIDIA Vera Rubinのアクセラレーテッドコンピューティングとコンフィデンシャルコンピューティング、そしてVAST AI Operating Systemを組み合わせた、事前統合済みの検証されたシステムを提供します。これにより企業は、ソブリン環境やエアギャップ環境であっても、データ、モデル、インフラに対する管理性を高めながら、フロンティアAIをより早く展開できます」
Supermicro Chief Revenue Officer
Matthew Thauberger
提供時期
VAST DataEnclaveは本日よりプレビューを開始し、2027年第1四半期にVAST Dataおよび参加OEMパートナー(CiscoおよびSupermicroを含む)を通じて出荷を予定しています。
※本リリースは、2026年9月22日(現地時間)に米国VAST Dataが発表した英文プレスリリース「VAST Data Introduces DataEnclave to Bring Leading AI Models and Enterprise Data Together on Trusted Infrastructure」の抄訳です。正式言語は英語であり、日本語訳と原文との間に相違がある場合は英語版が優先されます。
※本リリースには、現時点で一般提供されていない製品、特徴、機能に関する記述が含まれています。これらは情報提供のみを目的としたものです。すべての特徴および機能の開発、リリース、提供時期は各社の裁量に委ねられており、予告なく変更される場合があります。
※VAST Data、VAST DataEnclave、NVIDIA、Cohere、CrowdStrike、Deepgram、Factory、Fundamental、Sharon AI、Cisco、Supermicro、およびその他の製品名は、各社の商標または登録商標です。