【北海道厚真町・イベントレポート】SFプロトタイピングを活用し、未来ビジョンで解像度高く町を共創する取り組みをスタート
北海道厚真町は、9月24日に札幌市内で開催された複合型フェスティバル「NoMaps2026」のプログラムの一つとして、町内のSFプロトタイピングプロジェクトに関するトークセッションを開催しました。本セッションでは、今年度から厚真町で本格的に取り組んでいるSFプロトタイピングプロジェクトについて、SFプロトタイピングの解説ならびに導入した背景、未来の共創方法について紹介しました。
人口約4,200人の厚真町は、平成30年9月6日に起きた北海道胆振東部地震を経験しました。そこから大きな試練を乗り越えてきたこの10年、私たちは、町の成長戦略の一つとして起業家支援にも力を注いできました。「ローカルベンチャースクール」の導入などを経て、これまでに20人の起業家が誕生し、現在では「人が人を呼ぶ」好循環が実現しています。近年では、副業型人材を活用しながら、官民連携による社会課題の解決にも挑んでいます。
こうした歩みの中、今年5月には「第5次厚真町総合計画」がリリースされ、これから10年間のまちづくりの羅針盤が動き出しました。この計画は、職員や町民一人ひとりが「当事者」として、これからの未来をどう描くかを自らの手で創り上げてきたものです。私たちが描いた未来に向かって進むためには、常に自分たちの現状を正しく認識しながらまちづくりを進めていく必要があります。
不確実性が高い現代において、私たちは過去の歴史を振り返るのと同様に、「もっと未来を描くこと」が求められています。この先の未来がどうなっているのかという視座から、今の自分たちを見つめ直す――。その重要性を痛感したことこそが、厚真町が「SFプロトタイピング」という手法に出会った大きな背景でした。
日々の業務に向き合う中で、私は常に「まだ誰も見たことのない世界」に目を向けています。自分の専門分野であるテクノロジーをどう活かすか。その先にある景色はまだ正確には見えませんが、愛のある30年後、希望に満ちた50年後のストーリーを描きながら、美しい循環を生み出したいと願っています。振り返れば、私のキャリアはいつも「片足ずつしかつかない」というスタンスの連続でした。片足でしっかりと地に足をつけながらも、もう反対側の足では、いつもワクワクする方を選んで進んできた人生です。片足立ちはグラグラして確かに大変です。しかし、この「ワクワクとグラグラの先」を常に想像し行動することこそが、未来を創っていくのだと信じています。
今、AIの急速な発展に伴い「人間の世界が滅びるのではないか」という議論さえなされています。そんな時代だからこそ、私たちは「人間がいる価値」を改めて問い直さなければなりません。2050年の未来の主役は、技術ではなく、あくまで人間であるはずです。AIの時代だからこそ、私はあえて「仲間」の素晴らしさを実感するために、人間同士のグループワークを取り入れ、あえて効率やスピードを落とすことを意識しています。「仲間とは、自分一人では決して行けない場所へ行くためにいる」――この大切な未来の真理を、これからも大切にしていきたいのです。
一人ひとりが2050年の自分に思いを馳せ、「その未来で、誰が喜んでいるだろうか」を真剣に想像する。そのための手法として、私は「SFプロトタイピング」に大きな可能性を感じています。
トークセッションと並行し、「NoMpas2026」のオフィシャルラウンジでは、2050年のストーリーを描くワークショップを開催しました。参加者への質問として、「2050年に見たい未来の景色」、「その景色を心から喜んでいるのは誰か」という2問を準備しました。
参加者に2つの質問の回答を付箋に書いてもらい、それをAIに読み込ませて一つのストーリーへと昇華させたものをその場で共有しました。さらに、そのストーリーをグラフィックレコーディングの手法を用いて一枚の絵に展開しました。
人間には、「大人になると、突拍子のないことを考えるのが恥ずかしい」と感じ、どうしても普段の思考の枠からはみ出せなくなるという課題があります。このワークショップを通じ、未来を本気で想像し、これまでの思考や発想からはみ出すことで、新しい気づきや感動が生まれてほしい――そんな願いを込めて、このブースを運営しました。
インド・ボンベイ大学大学院修了後、起業やIT特化カンファレンス事業を経て、2001年にウィズグループを設立。スタートアップエコシステムビルダーとして育成支援や地域課題解決事業を手掛け、現在はTechGALAプロデューサーを務める。環境省や経産省などの政府委員も歴任し、著書多数。
上智大学文学部哲学科卒業後、フリーランスを経てIT・スタートアップ業界へ。メディア立ち上げ等に携わった後、株式会社ウィズグループに参画。イベント企画やクリエイティブ制作、女性起業家支援などをマルチに手掛ける。人文知やアートの背景を活かした事業構築支援を行う異色の存在。
株式会社Key Message International代表取締役。元TBSワシントン支局、在シリア日本国大使館、赤十字国際委員会などを経て独立。現在は北海道厚真町の地域活性化企業人として、SFプロトタイピングやAIを活用した未来共創プロジェクトを推進し、コミュニケーションの実践
と研究に取り組む。
2010年厚真町役場入庁。教育委員会を経て、現在はまちづくり推進課長として総合計画、地域公共交通、官民連携など広範な政策を推進。第5次総合計画の策定にも中心的に携わり、「可能性を実力へ」を軸に、住民・行政・民間が挑戦できるまちづくりを目指して計画を実践の羅針盤として使いこなしている。
「SF プロトタイピング」とは、未来の社会や暮らしをサイエンスフィクション(空想科学/SF)
として具体的に描き、その未来像から現在の政策や意思決定を見つめ直す「バックキャスティン
グ型」の取り組みのことです。昨今の人口減少や気候変動、テクノロジーの進展など、社会の前提が大きく揺らぐ中で、従来の延長線上の発想では地域の未来を描ききることが難しくなっています。厚真町はこうした背景のもと、未来を予測するのではなく、未来を構想し、共有することに価値を置いた新たなアプローチに挑戦しています。
(1)ローカルベンチャースクール関連記事
「【北海道厚真町】起業家育成プログラム「ローカルベンチャースクール」参加メンバーの募集を開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000178967.html
(2)第5次厚真町総合計画関連記事
「【北海道厚真町】“自分らしく挑戦を重ねられるまち”を目指して「第5次厚真町総合計画」を策定」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000178967.html
北海道厚真町
“自分らしく挑戦を重ねられるまち”
北海道厚真町は、北海道の南西部に位置し、陸海空の抜群な交通アクセスと豊かな自然が魅力の町で、町内のいたるところに田園風景が広がる農業が盛んな町です。明治の開拓時代から作られてきた高品質な「厚真米」や日本一の作付面積を誇る希少な果実「ハスカップ」が特産品です。太平洋に面した浜厚真海岸は、道内屈指のサーフスポットで年間約6万人ものサーファーが訪れます。また、道内では比較的降雪量は少なく、夏は涼しく、日照時間は長い、過ごしやすい気候を有しています。
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