熱マネジメントを強みとする「MQue」、NEDO「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」フェーズCに採択
株式会社MQue(代表取締役:津田拓也、以下「MQue」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」(新エネ中小・スタートアップ支援制度)において、2024年度に採択されたフェーズB(基盤研究)に続き、フェーズC(実用化研究開発)に採択されたことをお知らせします。
フェーズCでは、フェーズBで構築した流体シミュレーション(CFD)・AIサロゲートモデル・設計最適化の技術基盤を統合し、ヒートポンプの心臓部である熱交換器の設計開発プラットフォームとして実用化を目指します。研究開発期間は2026年10月から2028年9月までの2年間です。
【採択テーマ】多様な用途に対応するヒートポンプ熱交換器設計開発プラットフォームの開発
【研究の背景】低GWP冷媒への移行で、ヒートポンプの設計開発に新たな負荷
ヒートポンプは、少ない電力で低温側から高温側へ熱を汲み上げる装置です。空気熱・地中熱・工場廃熱などの再生可能エネルギー熱や未利用熱を活用できるため、産業・民生の「熱」の脱炭素化の鍵とされています。
一方で、冷媒の温暖化影響を抑える規制が強化されています。オゾン層保護を目的とするモントリオール議定書は、2016年のキガリ改正で温室効果の高いHFCも削減対象とし、日本を含む先進国に対して2036年までにHFCの生産・消費量を基準値から85%削減(CO₂換算)することを求めています。また、2024年に施行されたEUの改正F-gas規則による規制強化も背景に、プロパン(R290)など、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒への移行が進んでいます。
ヒートポンプの心臓部である熱交換器では、冷媒が沸騰・凝縮を繰り返す気液二相流(気体と液体が入り乱れた流れ)となり、その予測は困難です。業界で広く使われる経験式ベースの設計ツールは、新しい冷媒や形状では精度が落ち、校正データの整備に長い期間を要します。その結果、設計開発は実験ベースの試行錯誤に頼る場面が増え、時間とコストが大きな課題となっています。
【事業内容】CFD×AIサロゲート×最適化を統合した熱交換器設計開発プラットフォーム
流体シミュレーションとAIを組み合わせ、新規冷媒・新規形状にも対応するヒートポンプ熱交換器設計開発プラットフォームを開発し、多様な用途・運転条件での設計検討を効率化することを目指します。
家庭用エアコンに限らず、業務用・産業用ヒートポンプへの展開も見据えています。低GWP冷媒対応機の市場投入を加速し、ヒートポンプの利用地域を広げ、再生可能エネルギー熱や未利用熱の利用拡大に貢献します。
【今後の展望】
MQueは、フェーズC期間中にパートナー企業との試験運用を重ね、その後一般販売を開始することを目指します。将来的には、プレート式・シェル&チューブ式などの熱交換器や、産業用・車載用ヒートポンプへ対応範囲を広げます。
ヒートポンプで培う気液二相流シミュレーションとAIの技術は、データセンターの液冷など、気液二相流が性能を左右する他分野にも展開していきます。
■NEDO「新エネ中小・スタートアップ支援制度」について
新エネ中小・スタートアップ支援制度では、エネルギー基本計画等に示されている再生可能エネルギー分野の重要性に着目し、研究開発を補助します。中小企業等の育成を行いつつ、将来を見据えた同分野における研究開発を進めることにより、新事業の創成と拡大等を目指した事業化を促進します。
MQueが採択されたフェーズC(実用化研究開発)では、事業化の可能性が高い基盤技術要素を有している中小・スタートアップ企業等が、事業終了後3年以内での事業化を目指し、必要となる実用化技術の研究開発、実証研究等を実施します。
参考:https://www.nedo.go.jp/activities/CA_00251.html
■株式会社MQueについて
株式会社MQueは、シミュレーション/モデリング/対話AIで独自技術を開発・社会実装を担うディープテック企業です。
当社は、世界的な研究実績を有する研究者の先端技術を、企業や組織が直面する高難度な課題に結びつけることで、社会課題の解決に取り組んでいます。
私たちが向き合っているのは、高度な技術や知見が個人や組織に紐づいたまま属人化し、社会全体として十分に活用されていないという課題です。特に、複雑な最適化や探索が求められる現場では、設計、性能、人の知恵といった異なる原理が分断されたまま意思決定が行われています。その結果、ものづくり、建築、組織運営の分野において、部分最適に留まる判断や属人的な知見への依存が、全体最適や再現性の確保を難しくしています。
MQueはこの課題に対し、設計・性能・人の知恵を一つの意思決定として統合することで、実現可能性・性能・納得性を兼ね備えた最適解を導くことを統合的なVisionとして掲げています。
研究成果を単なる技術提供に留めるのではなく、実際の業務や意思決定に組み込み、社会実装まで一貫して行うことを重視しています。
このVisionを実現するため、当社では「シミュレーション」「モデリング」「対話AI」の3つの領域で、研究と事業を一体的に展開しています。
各事業概要
シミュレーション事業
流体シミュレーション、AIサロゲートモデル、最適化などの分野で世界的な実績を持つ研究者を中心にものづくりの高度化に取り組んでいます。熱機器や航空宇宙産業の企業と連携し、シミュレーションの開発・適用にとどまらず、代替モデル(1D-CAEモデル・AIサロゲートモデル)の構築や、それを基盤とした最適化までを一貫して提供。実験とシミュレーションを効果的に組み合わせることで、試作等の工数を削減しながら設計プロセスの高速化と性能向上を実現しています。これにより、シミュレーションを設計判断や意思決定に活用し、設計・性能を横断した最適化を可能にしています。
モデリング事業
世界最高峰のコンピュータビジョン国際学会CVPRで高い評価を受けたエンジニアと連携し、建築・製造業における設計プロセスの最適化に取り組んでいます。ゼネコン、デベロッパー、設計事務所向けには設計図面の確認自動化・最適化を提供し、建築・製造業メーカーに対しては、顧客嗜好や設計意図を反映した提案力・設計力の強化を支援しています。設計者の経験や判断に依存してきたプロセスを構造化することで、人の知恵と設計の両方を考慮した意思決定を支えています。
対話AI事業
人とAIの協働知に関する研究者と、組織設計や経営者育成を専門とするコンサルタントが協働し、当社独自の対話AI技術とユースケースを開発しています。大手金融機関、総合商社、人事関連企業などと連携し、これまで勘や経験に依存してきた配属・評価・育成・採用を、科学的手法と企業固有の文脈を踏まえて再構築しています。「対話」という非定型データを活用して人の暗黙知や判断プロセスを可視化し、人の知恵を含めた意思決定の高度化を支援しています。
■会社概要
名称:株式会社MQue
住所:東京都文京区後楽2丁目3-21住友不動産飯田橋ビル 4階 Room8
代表:津田 拓也
■本件に関するお問い合わせ
MQue シミュレーション事業:吉田
E-mail:[email protected]