「乳酸菌 Lacticaseibacillus paracasei KW3110」の継続摂取により軽症から中等症の花粉症に伴う眼症状を緩和することを確認
キリンホールディングス株式会社(社長 COO 南方健志、以下キリン)のヘルスサイエンス研究所(所長 村島弘一郎)は、乳酸菌 Lacticaseibacillus paracasei KW3110(以下、乳酸菌 L. パラカゼイ KW3110)※1を含有する食品の摂取が、軽症から中等症の花粉症※2(季節性アレルギー症状)に伴う鼻眼の症状に与える影響を評価する臨床試験を実施しました。その結果、特に「花粉飛散が顕著な時期」において眼症状の緩和が確認され、日常生活への支障度のうち「まわりの人が気になる」でも有意な改善が認められました。当研究成果は、2026年10月15日(木)~18日(日)に国立京都国際会館で開催される「第75回日本アレルギー学会学術大会」で発表しました。
※1 International Archives of Allergy and Immunology. 2004;135:205–215
※2 「鼻アレルギー診療ガイドライン」に基づく鼻症状の重症度分類で軽症から中等症に該当する方を選抜し、さらに日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票により眼症状を有する方を対象に試験を実施しました。
株式会社ウェザーニューズが実施した「花粉症調査 2026」※3によると、2人に1人以上が花粉症であると回答しています。近年、花粉症(季節性アレルギー症状)によるくしゃみや鼻水などの鼻症状に加え、目のかゆみや異物感、涙目などの眼症状も日常生活に大きな支障を及ぼしており、特に生活の質(QOL)への影響が大きく※4、花粉症は社会的課題として認識され始めています。
花粉症のようなアレルギー反応は、Th2細胞などの免疫細胞が深く関係しているといわれており、それらの細胞の過剰な働きにより2型炎症※5が引き起こされることで発症します。花粉やダニ、ハウスダストなどの物質に対してそれらの免疫細胞が強い炎症反応を起こすことでアレルギー症状が引き起こされるため、2型炎症を悪化させないことが重要です。
キリンはこれまでに、「乳酸菌L. パラカゼイ KW3110」が、他の乳酸菌よりも2型炎症を抑えるサイトカイン※6(例:IL-12※7)を産生する働きが強いことを報告しています。さらに、臨床試験では、軽症〜中等症の花粉症に伴う鼻の不快感をやわらげることも確認しています※8。
※1の論文より作図
このような基礎研究成果を踏まえ、「乳酸菌 L. パラカゼイ KW3110」のさらなる可能性を探索することを目的として、本臨床試験を開始しました。本研究で得られた知見は、軽症から中等症の花粉症による生活の質(QOL)の低下に悩む人々の健康課題に関する研究において、意義あるものと考えています。今後は、これらの成果を活用し、人々の健康に貢献する商品の研究開発も検討してまいります。
※3 株式会社ウェザーニューズ 「花粉症調査2026」 【花粉症調査】2人に1人以上が花粉症 10代は7割が発症し根本治療に関心 | Weathernews Inc.
※4 厚生労働省 的確な花粉症の治療のために https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/kafun_chiryo.pdf
※5 アレルギー性の炎症の一種。
※6 アレルギー反応に関与する情報伝達物質の一種。
※7 インターロイキン‐12:2型炎症によるアレルギー反応を抑制するサイトカインの一種。
※8 2025年10月31日 当社ニュースリリース 「乳酸菌Lacticaseibacillus paracasei KW3110」による軽症から中等症の花粉症症状の緩和を確認 | 2025年 | KIRIN - キリンホールディングス株式会社
■研究背景・目的
花粉症(季節性アレルギー症状)は、花粉によって引き起こされるアレルギー疾患で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり等のアレルギー性鼻炎や目のかゆみ、流涙等のアレルギー性結膜炎が最も多くみられます。花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の有病率は国民の約40%以上となっており、特に、スギ花粉症の有病率は10年間でおよそ10%の増加が確認されており、今後さらに花粉症有病率が増加する可能性があり、大きな社会的課題となっています。現在では食品に含まれる有用成分を利用し、眠気を誘発する等の懸念が少なく、安全性の高いアレルギー症状を緩和する製品の開発が求められています。キリンはこれまでの研究で、「乳酸菌L. パラカゼイKW3110」が自然免疫細胞の一種である樹状細胞・マクロファージを活性化させ、Th1サイトカイン産生能を高める作用やアレルギー症状緩和効果などを明らかにしてきました。本研究は、乳酸菌L. パラカゼイKW3110の花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)などのアレルギー症状を緩和する製品の開発を目的とし、アレルギー症状により低下するQOL向上を目指すものです。
■研究方法
研究デザインは無作為化二重盲検プラセボ対照試験とした。春先に鼻眼の不快感を有する20歳以上65歳以下の男女のうち、症状緩和の医薬品を常用していない軽症から中等症のアレルギー性鼻炎に該当する130名を対象に、乳酸菌 L. パラカゼイKW3110含有食品※9またはプラセボ食品※10を8週間(1~3月)摂取させました。鼻眼の自覚症状は日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票※11を用い、アレルギー性鼻炎症状の重症度分類は医師の診断に基づいて評価しました。
■研究成果
乳酸菌L. パラカゼイKW3110含有食品摂取によりプラセボ食品摂取と比べ、花粉飛散顕著な時期である摂取6週、8週目の自覚症状スコア(「眼症状」と「まわりの人が気になる※12」)の変化量が有意に改善しました。(図2)
※9 乳酸菌L.パラカゼイ KW3110死菌体50mg(1,400億個以上)を含む食品
※10 乳酸菌L.パラカゼイ KW3110を含まない食品
※11 「鼻アレルギー診療ガイドライン」に記載されたアレルギー性鼻炎による鼻・眼症状および日常生活への影響を評価する質問票。
※12 症状によって周囲の目や周囲への迷惑を気にすること関連する自覚症状のスコア
■得られた示唆
乳酸菌 L. パラカゼイ KW3110は、花粉飛散が顕著な時期において目の不快感を軽減し、生活の質(まわりの人が気になる)の低下を軽減することが示唆されました。
■今後の展望
乳酸菌 L. パラカゼイ KW3110の研究を通じて、花粉症などのアレルギー症状によるQOL低下を軽減することで健康課題の解決に貢献してまいります。
■乳酸菌 L. パラカゼイ KW3110とは
「乳酸菌 L. パラカゼイ KW3110」はキリンと小岩井乳業の共同研究で100種類以上の中から発見され、免疫バランスを整えることが期待できる乳酸菌です。もともとはチーズから分離された乳酸菌Lacticaseibacillus paracaseiの1種です。
キリンは、発酵・バイオテクノロジーを基盤に、免疫研究など健康寿命の延伸に向けた取り組みを進めています。人の一生に寄り添い、健やかに暮らせる社会を目指しています。