日本のデジタルウェルビーイング順位が低下、インターネット品質の後退が大きく影響
「Digital Quality of Life Index 2026」で日本は世界21位、AI分野では7位、デジタルセキュリティでは23位
Surfsharkが発表した「Digital Quality of Life Index(DQL:デジタル生活の質に関する指数)」2026年版では、フィンランド、ドイツ、デンマークが総合ランキングのトップ3となりました。
今回で8回目となる本調査では、「インターネットの利用しやすさ」「インターネット品質」「デジタルインフラ」「デジタルセキュリティ」「AI」の5つの分野から、各国のデジタル環境や暮らしやすさを総合的に評価しています。
一方、オンライン上の安全性やAIの普及・発展度に目を向けると、総合ランキングとは異なる傾向が見られます。日本はAI分野で世界7位、デジタルセキュリティ分野では23位となりました。
「Digital Quality of Life Index 2026」において、日本は世界21位となり、前年の16位から順位を下げました。分野別ではAIが最も高く世界7位となった一方、インターネット品質は72位と課題が見られました。そのほか、インターネットの利用しやすさは18位、デジタルセキュリティは23位、デジタルインフラは26位となっています。
Surfsharkの最高セキュリティ責任者であるトマス・スタムリス氏(以下、同氏)は、次のように述べています。
「私たちは今、AIを悪用したサイバー攻撃の時代を迎えています。これまで攻撃者は、標的の調査や選定、コンテンツのローカライズ、偽サイトの作成などに数週間を費やしていました。しかしAIの登場によって、こうしたサイバー攻撃における『人間の作業がボトルネックになる状況』は事実上なくなりつつあります。
現在では、AIによってソーシャルエンジニアリングを自動化し、従来の100倍ものスピードで攻撃を仕掛けることが可能です。数年前に1件の手作業による詐欺が行われていたとすれば、今では見分けがつかないほど精巧な攻撃が、自動化によって1,000件規模で発生するような状況に直面しています」
さらに、同氏は、次のように指摘しています。
「こうした環境において、オンラインセキュリティを技術革新の二の次にすることはできません。また、単一のセキュリティツールだけでは十分とはいえません。AIを悪用した脅威から身を守るには、リアルタイムの詐欺検知、プライバシー保護ツール、自律的なエンドポイント保護などを組み合わせた多層的な対策を、個人・組織の双方が取り入れる必要があります。機械による攻撃には、機械を活用して対抗することが求められています」
AI分野では世界7位、調査対象国の94%を上回る
日本はAI分野で世界7位となり、調査対象国の94%を上回りました。日本より下位となった国は114カ国です。
AI分野では、各国における人工知能(AI)の発展状況を評価しており、AI投資先としての魅力度や、公共サービスへAIを導入する準備がどの程度整っているかなどが指標に含まれます。
日本は世界5位の韓国には及ばなかったものの、世界14位の中国を上回りました。
デジタルセキュリティは前年から12ランク上昇し、世界23位
日本のデジタルセキュリティは世界23位となり、前年から12ランク上昇しました。これは調査対象国の約80%を上回る結果です。
デジタルセキュリティ分野では、人々がどの程度安全にオンラインサービスを利用できる環境にあるかを評価しています。日本はサイバー犯罪への対策体制が整っているほか、データ保護に関する法制度も高く評価されています。
一方、世界22位の韓国をわずかに下回ったものの、世界74位の中国を大きく上回りました。
デジタルセキュリティ分野では、トップ10をすべて欧州の国々が占めました。一方、AI分野でトップ10入りした欧州諸国は、英国、フランス、ドイツ、オランダの4カ国にとどまります。
米国はAI分野で世界1位となった一方、デジタルセキュリティでは38位でした。AIの導入が急速に進む一方で、利用者のオンライン上の安全性が十分に確保されていない状況が、詐欺被害の増加につながっていることがうかがえます。同様に、英国もAIでは世界2位ですが、デジタルセキュリティでは28位となっています。
日本で最も順位を落としたのは「インターネット品質」
今回のDQLで、日本が最も大きく順位を落とした分野はインターネット品質でした。
日本のインターネット品質は世界平均とほぼ同水準で、世界72位となりました。前年の57位から15ランクの低下です。
特に評価を押し下げたのが、モバイル回線と固定回線の「レイテンシー(遅延)」です。レイテンシーが大きいと、通信速度そのものは十分でも、インターネットの反応が遅く、「もたつく」「ラグがある」と感じやすくなります。
たとえば、モバイル回線のレイテンシーが特に優れているクウェートでは16ミリ秒であるのに対し、日本では平均44ミリ秒となっています。また、日本の固定回線におけるレイテンシーは25ミリ秒でした。
デジタルインフラは世界26位、前年からやや低下
日本のデジタルインフラは世界26位となり、前年の24位からやや順位を下げました。
高度なデジタルインフラが整備されている国では、仕事や学習、買い物など、日常生活のさまざまな場面でインターネットを活用しやすくなります。
この分野では、インターネットを利用できる人の割合に加え、その国がデジタル技術を最大限活用できる環境をどの程度整えているかを評価しています。
日本では人口の86%がインターネットを利用しており、この指標では世界66位でした。一方、ネットワーク活用の準備状況を示す「ネットワーク・レディネス」では世界11位となっています。
同氏は次のように述べています。
「AIの普及と、その国のデジタルインフラの強さには関連性が見られます。AIシステムが専門家だけでなく一般の人々にとっても利用しやすくなるにつれ、テクノロジーを取り巻く環境は、これまでにないスピードで変化していくでしょう。
一方で、公共サービスやデジタルシステムに自動化されたソリューションを導入する際には、内部・外部からのサイバー脅威や悪用に対する強固な防御策を優先することが不可欠です」
日本の詳細データおよび各国との比較はこちらからご確認いただけます。
総合ランキングではフィンランドが世界1位となり、ドイツ、デンマーク、スロベニア、オーストリアが続きました。トップ10はすべて欧州諸国が占めています。
一方、AI分野では米国が世界1位、英国が2位、フランスが3位となりました。AI分野のトップ10に入った欧州諸国は、英国、フランス、ドイツ、オランダの4カ国です。
調査方法
「Digital Quality of Life Index(DQL)」は、サイバーセキュリティ企業Surfsharkが2019年から毎年実施している大規模な調査の一つです。最新版となる「Digital Quality of Life Index 2026」は、2026年10月6日に発表されました。
2026年版では、世界121カ国を対象に、国連や世界銀行をはじめとする信頼性の高い機関が公開するオープンデータをもとに分析しています。
各国のデジタル生活の質を、「インターネット品質」「インターネットの利用しやすさ」「デジタルセキュリティ」「デジタルインフラ」「AI」の5つの分野から評価しています。AIは2025年から新たな評価分野として追加されました。
調査データの詳細は、こちらからご確認いただけます。
Surfsharkとは
Surfsharkは、監査済みVPNや認証済みアンチウイルス、データ漏えい警告システム、プライベート検索エンジン、オンラインアイデンティティ生成ツールなどを提供するサイバーセキュリティ企業です。CNETやTechRadarなどのメディアから有力なVPNサービスとして評価されており、FT1000:Europe’s Fastest Growing Companies(欧州の急成長企業ランキング)にも掲載されています。
本社はオランダにあり、リトアニアおよびポーランドにもオフィスを構えています。Surfsharkの事業概要や主な取り組みについては、同社の年次総括をご覧ください。また、その他の調査プロジェクトについては調査レポートをご参照ください。