AI時代、営業マネジャーの仕事はどう変わる? ~営業×AIから考える、これからのマネジメント~10月8日(木)12:10~12:55 オンラインセミナーレポート】
セミナー概要
近年、営業活動のさまざまな場面でAIやITツールが活用されるようになりました。SFAやチャットツール、カレンダー、会計システムなど、これまで人が行っていた業務を効率化する仕組みも増えています。
一方で、「AIを導入したことで作業時間が短くなった」「営業活動を標準化できた」という成果だけを追いかけてしまうと、本来の営業の目的から離れてしまう可能性があります。
営業ハックが掲げる「営業の悩みを0にする」というミッションのもと、今回のセミナーでは、営業×AIをテーマに、AI時代に営業マネージャーがどのような役割を担うべきなのかを考えました。
AIを否定するのではなく、AIを活用しながらも「人にしかできないことは何か」「何のためにAIを使うのか」を考えることが、これからの営業マネジメントにおいて重要になります。
今回は、株式会社アルヴァスデザインの代表取締役 CVO ・高橋氏との対談を通じて、AI時代における営業マネジメントのあり方や、営業マネージャーに求められる役割について掘り下げていきました。
セミナー詳細
日時:10月8日(木)12:10~12:55
登壇者:株式会社アルヴァスデザイン・株式会社営業ハック
会場:Zoom
参加費用:無料
参加人数:約20名
当日の様子:セミナー簡易議事録
営業の仕事は、単に商品やサービスを売ることではありません。
お客様のお困りごとを解決するだけではなく、お客様が実現したい未来や、大切にしている理念・ビジョンに寄り添い、その実現を支援することが営業の本質です。
そのため、「AIを使ったことで作業時間が減った」という事実だけでは、本当に営業活動が良くなったとは言えません。
重要なのは、AIによって生まれた時間を何に使うのか。
そこで生まれた時間を、お客様とのより深いコミュニケーションや、より良い提案、課題設定などに使えてこそ、AIを活用する意味があります。
実際に、AIを活用して営業プロセスの標準化を進めた企業の事例が紹介されました。
全国でルート営業を行う企業で、北海道から沖縄まで、どの地域でも一定の営業品質を実現したいという目的から、全営業担当者にタブレットを配布。
SFAやAIを搭載し、
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商談中にどんな質問をすればよいか
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どんな回答を入力するのか
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商談前に確認すべき情報
-
商談後に次に訪問するルート
-
商談内容の議事録
などをAIやシステムがサポートする仕組みを整えました。
結果として業績は上がり、営業活動の効率化にもつながりました。
しかし、その一方で離職者が増えるという結果が生まれました。
退職を考えている社員に話を聞くと、
「自分は何のために存在しているのかわからなくなった」
「ロボットになったように感じる」
という声が出てきたといいます。
会社としては「営業の負担を減らしたい」「全国で営業品質を標準化したい」という思いから導入した仕組みでした。
しかし、営業担当者からすると「AIの言う通りに動くこと」を求められているように感じてしまったのです。
この事例からも、AIやITを導入する際には、効率化だけを見るのではなく、「人が何をするための時間を生み出したいのか」まで考える必要があります。
営業マネジメントにおいて、「標準化」「効率化」「再現性」は重要なテーマです。
しかし、標準化を「誰がやっても同じことをする」と定義してしまうと、営業は作業になってしまいます。
お客様はロボットと話したいわけではありません。
経験の浅い営業でも、経験豊富な営業と同じように一定の価値をお客様へ提供できる状態をつくること。
それこそが、本来目指すべき標準化です。
つまり、
「みんなが同じことをする」のではなく、「誰が担当しても一定の価値を提供できる」こと。
そのためには、単に手順を統一するだけではなく、「なぜこの仕事をするのか」「この行動にはどんな意味があるのか」という目的や意義まで共有する必要があります。
AIによって作業時間が短縮されると、「残業が減った」「業務効率が上がった」といった成果が見えやすくなります。
しかし、それだけでは十分ではありません。
作業とは、目的を深く考えなくても指示された通りに進められるものです。
一方、仕事には目的や意義があります。
AIによって作業を減らしたのであれば、その先にある「人にしかできない仕事」に時間を使えるようにしなければなりません。
例えば、
「資料作成の時間が減った」
→「その分、お客様との会話を増やす」
「営業準備の時間が減った」
→「お客様の課題をより深く考える」
「数値集計を自動化した」
→「数字から何が起きているのかを考え、次の施策をつくる」
このように、効率化の先に何を実現するのかを明確にすることが重要です。
セミナーでは、ピーター・ドラッカーの考え方にも触れながら、IT導入の目的についても考えました。
SFAを導入するときも、単純に「営業情報を管理するため」と考えるのではなく、
「誰と誰の意思疎通を良くしたいのか?」
と考えることが重要です。
例えば、
-
営業とお客様
-
マネージャーとメンバー
-
営業同士
-
現場と経営層
など、どのコミュニケーションをより良くしたいのかによって、ITの使い方は変わります。
AIについても同じです。
「AIを導入する」という手段だけが先行し、「何のために使うのか」を組織全体で共有できていない企業は少なくありません。
AIを導入すること自体が目的になってしまえば、手段が一人歩きしてしまいます。
ここからは、営業マネージャーの役割について考えます。
「マネージャーは何をしていますか?」
と聞くと、
定例会議をする
数字を確認する
メンバーと面談する
ランチや飲み会をする
といった「やっていること」が返ってくることがあります。
しかし、「どんな営業部にしたいですか?」「どんなチームをつくりたいですか?」と聞くと、明確な答えを持っていないケースもあります。
マネージャー=管理者、マネジメント=管理と捉えられがちですが、これからのマネージャーに求められる役割は、それだけではありません。
管理業務は、AIやITによってさらに簡単にできるようになります。
数字の集計や進捗確認、情報整理など、これまでマネージャーが時間をかけていた業務も自動化されていくでしょう。
だからこそ、マネージャーは「管理」に使っていた時間を、「何を生み出すか」を考える時間に変えていく必要があります。
つまり、
管理する仕事から、価値を創造する仕事へ。
これがAI時代のマネージャーに求められる大きな変化です。
では、どうすれば営業に創造性を持ってもらえるのでしょうか。
そのための考え方として紹介されたのが、「2つ上の目的を捉える」という方法です。
例えば「求人を出す」という仕事があったとします。
一つ上の目的は「人材を増やすこと」。
さらにもう一つ上の目的を考えると、
「新しい事業をスタートするため」
という目的が見えてくるかもしれません。
このように、目の前のタスクだけを見るのではなく、その仕事のさらに上にある目的を考えることで、仕事の抽象度が上がり、そこから具体的な手段を考える必要が生まれます。
それが、創造性を発揮するきっかけになります。
これまでの営業は、「言われたことをきちんとやる」ことが評価される場面も多くありました。
しかし、目の前のオーダーに対応するだけでは、想像力を発揮する余地がありません。
これからの営業には、「何を求められているのか」だけではなく、「そもそも何のためにやるのか」を考える力が求められています。
では、メンバーに目的や意義を理解してもらうにはどうすればよいのでしょうか。
一方的に情報を与えるだけでは、人の学びはなかなか定着しません。
大人の学びでは、「問いかける」ことが重要です。
「この仕事の目的は何だと思いますか?」
「この施策を行うことで、お客様にどんな価値を提供したいですか?」
「この数字を見て、何が起きていると思いますか?」
このような問いを投げかけることで、メンバー自身が考え、目的や意味を理解することにつながります。
一昔前のマネジメントでは、「これをやりなさい」と指示することが当たり前だったかもしれません。
しかし、今では一方的に詰めるマネジメントはパワハラにつながるリスクもあります。
だからといって、指示を避けるだけではありません。
営業の本質的な質を高めるために、メンバーが自ら考えられるような問いを投げかけることが重要です。
さまざまな企業を見ていると、
「この営業担当者の問題に見えるけれど、実は上司との関係性が影響しているのではないか」
と感じる場面もあります。
営業のヒアリングが浅い。
お客様との関係構築ができない。
お客様の本質的な課題を捉えられない。
こうした営業上の問題の背景には、上司と部下の関係性が十分に築けていないケースもあります。
だからこそ、営業マネージャー自身の質も高めていかなければなりません。
営業を良くするためには、プレーヤーだけを変えるのではなく、マネージャーの関わり方も変えていく必要があります。
AI時代に人が担うべき仕事は何でしょうか。
その一つが、「関係をつくること」です。
営業は、
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ラポール
-
ヒアリング
-
プレゼン
-
クロージング
という流れで考えることができます。
しかし、ラポールがなければ深いヒアリングはできません。
誰だかわからない人から突然質問をされても、本音を話すことは難しいでしょう。
質問に答えてもらうためには、
「何を聞きたいのか」
「なぜそれを聞くのか」
「この人になら話してもいい」
という関係性が必要です。
だからこそ、AI時代に重要になるのは「問いかける力」と「聞く力」。
そして、お客様と一緒に悩み、課題を設定していく力です。
必ずしも最初から正解を持っている必要はありません。
より良い問いを立て、対話を重ね、一緒に意思決定をしていく。
その中で、人にしか生み出せない価値が生まれていきます。
最後に、AIやITを含めたマネジメントを、目的と手段の関係から整理しました。
最上位にあるのは「お客様への価値創造」。
そのために、
-
戦略的な意思決定
-
知識・知恵
-
情報
-
IT技術
という要素が必要になります。
つまり、ITやAIはあくまで下支えする「手段」です。
重要なのは、AIを使ったか、どんなデータを集めたかではありません。
「メンバーとどんな意思疎通をしたいのか」
「お客様にどんな価値を提供したいのか」
「そのためにAIやITをどう使うのか」
という順番で考えることです。
事業目的、ナレッジ、顧客価値を起点に、組織の力を成果につなげる。
これはAIが進化しても変わらない、マネジメントの原理原則です。
まとめ
AI時代において、営業マネージャーの仕事は大きく変わろうとしています。
これまでマネージャーが担ってきた「数字の管理」「進捗確認」「情報整理」といった仕事は、AIやITによって効率化されていくでしょう。
だからこそ、これからのマネージャーには、管理だけではなく「創造すること」が求められます。
AIを導入すること自体を目的にするのではなく、AIによって生まれた時間を、お客様とのコミュニケーションや課題設定、メンバーとの対話、新しい価値を生み出すための時間に変えていく。
そのために重要なのが、「問い」です。
「何のためにこの仕事をするのか」
「お客様にどんな価値を提供したいのか」
「この施策によって、どんな未来をつくりたいのか」
問いを通じて目的や意義を共有し、メンバー自身が考え、行動できる組織をつくる。
それこそが、AI時代の営業マネージャーに求められる役割なのではないでしょうか。
AIの活用によって、営業の仕事が単なる作業になってしまうのか。
それとも、人にしかできないコミュニケーションや創造性に、より多くの時間を使えるようになるのか。
その分かれ道になるのは、「AIをどう使うか」だけではなく、「何のために使うのか」を組織で共有できているかです。
営業の仕事を、もっと楽しく、もっと価値のあるものへ。
AI時代だからこそ、営業マネージャーには、管理するだけではなく、新しい価値を生み出し、人と組織の可能性を引き出す役割が求められています。
代表プロフィール
1974年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。株式会社ファンケルにて化粧品開発およびマーケティングに従事した後、営業職へ転身。ベンチャー人事コンサルティング会社、大手人材育成会社を経て、2013年に株式会社アルヴァスデザインを設立。
「インサイトセールス(価値共創型営業)」の提唱者として、これまでに3万人以上の営業人材育成や組織変革プロジェクトを牽引。現在はCVO(チーフ・ビジョン・オフィサー)として、変化の激しい時代における営業の未来像と、人と組織の可能性を拓くビジョンの体現に注力している。
20歳の頃から営業のキャリアをスタート。新卒で大手人材会社に入社し、入社半年で営業成績トップになる。メガベンチャーに転職した後、営業フリーランスとして独立。
独立後は営業代行事業・コンサルティング事業で、営業支援を100社以上実施する。2018年4月「営業の悩みを0にする」ミッションを掲げ、株式会社営業ハックを創立。
営業コミュニティの運営も行い、これまで累計200人を超える営業職の支援を行う。2022年には日本最大級の営業の大会第6回『S1グランプリ』にて最終決戦で満票を獲得し優勝者となる。
営業ハックについて
株式会社営業ハックは「売上を2倍にするお手伝い」をさせていただき「営業の悩みを0にする」会社です。代表の笹田の体験・経験から、営業戦力不足を解決することで売れる組織をつくることができると考え、営業マネジメントコンサルティングを含めた営業代行事業を展開しています。「誰よりも現場を知る営業コンサルタント」として営業に関する実態調査や分析を行い、時代に合わせた営業とは何かを常に追いかけています。
会社概要
会社名:株式会社営業ハック(カブシキカイシャエイギョウハック)
所在地:〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-8-2 いちご桜橋ビル3F
代表者:笹田裕嗣
設立:2018年4月13日
事業内容:営業コンサルティングおよび代行支援事業