東アジアの水産業のサステナビリティを加速する新たなネットワーク、5組織が共同で発足
世界の最大の水産物生産・消費地、東アジアの新たな道しるべに
10月21日、東アジア最大級のサステナブルシーフードイベント、サステナブルシーフード・サミット(TSSS)において、海洋、食料システム、漁業従事者が直面する課題の解決に向け、水産業の中心地である東アジアから、新たなビジョンと道しるべとなる「BEACON(正式名称:Blue East Asia Collaborative for Ocean Networks、読み:ビーコン)」が中国本土、香港、台湾、韓国、日本で活動する5組織により始動しました。
構成組織
Ocean Outcomes(O2)
青島海洋保護協会(Qingdao Marine Conservation Society:QMCS)
DearOcean
香港サステナブルシーフード連合(Hong Kong Sustainable Seafood Coalition:HKSSC)
株式会社シーフードレガシー(Seafood Legacy) (詳細は後述)
BEACONが目指す変革の意義と影響は、東アジア地域にとどまりません。東アジアにおける水産物の生産、貿易、雇用、市場は、世界の食料・経済システムを支えており、世界の持続可能性、人々の暮らし、海洋の健全性に大きな影響を及ぼしています。
国連食糧農業機関(FAO)によると、アジアは世界の水産物生産量の76%を占め、世界の漁業・養殖業における直接雇用の85%をアジア諸国が占めています。また、中国だけでも2024年の水産物輸出額は約200億米ドルに達し、日本、米国、韓国などが主要な輸出先となっています。
一方、東アジアの漁業の持続可能性に影響を与え、資源管理に関わり、水産物を生産する団体や産業界は、相互の連携が十分ではなく、それぞれが独立して活動していることが少なくありません。
株式会社シーフードレガシー創設者・代表取締役社長の花岡和佳男は、次のように述べています。
東アジアは世界の水産システムにおいて中心的な役割を担っています。しかし、漁業の持続可能性を高めるための取り組みは、国やセクターごとに分断されがちです。BEACONは、東アジア全域における持続可能性への取り組みをつなぐために設計されました。団体同士を結びつけ、方向性をそろえ、既存の専門知識を活かすことで、水産システム全体の意思決定が互いに相乗効果を生み出すことを目指します。
BEACONが取り組むこと
BEACONの構成組織の活動地域となる、中国本土、香港、台湾、韓国、日本にまたがる地域のパートナーシップ、プロジェクト、専門的な知見や能力を結集し、以下の相互に関連する6つの分野で活動を推進します。
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科学とエビデンス
関連する研究成果を集約し、優先的に対応すべき情報の不足や課題を特定する。 -
水産サプライチェーンと市場
調達、トレーサビリティ、デューディリジェンス、サプライヤーとのエンゲージメントを通じ、水産関連企業やサプライチェーン上の関係者をつなぐ。 -
金融リスクとエンゲージメント
金融機関が漁業に関連するリスクを把握するために、より実用的な情報や指標を活用できるよう支援する。 -
漁業・養殖業の改善
生産者やその他のステークホルダーを、漁業・養殖の実践を改善するための実行可能な道筋につなぐ。 -
漁業ガバナンスへの生態系アプローチ
科学的知見や取り組みの実施から得られた知見が、適切な科学的プロセスや地域的な資源管理のプロセスに反映されるよう支援する。 -
モニタリングと学習
共同の取り組みの進捗を把握し、今後の活動に活かすための教訓を明らかにする。
青島海洋保護協会の創設者・会長であるSonglin Wang氏は、次のように述べています。
BEACONは、他の団体がすでに行っている活動を重複して実施するための新たな組織をつくるものではありません。共通する漁業の優先課題を軸に、既存の専門知識やネットワークをつなぐものです。それにより、科学、産業界とのエンゲージメント、実践的な取り組みが、東アジア全域でより効果的に連携できるようにすることを目指しています。
なぜ取り組みの方向性をそろえることが重要なのか
漁業の持続可能性は、優れた科学的知見や個々の漁業・漁船における漁業慣行の改善だけで実現できるものではありません。改善策は生産者にとって実行可能であり、水産物の買い手に理解され、信頼できる情報によって裏付けられ、関連する資源管理プロセスを踏まえたものである必要があります。さらに、生産、市場、金融、科学、ガバナンスにまたがる漁業システム全体で取り組みを進めることが不可欠です。BEACONは、こうした分野間のつながりを強化します。
例えば、科学的エビデンスは漁業における優先課題の特定に役立ち、実践的な改善活動は生産者がそれらの課題に対応することを可能にします。サプライチェーンにおけるエンゲージメントは関係者に求められることを明確にし、現場での実施経験は資源管理に関する議論に知見を提供します。また、金融機関は、より質の高い情報を用いて漁業関連のリスクを評価し、軽減することができます。
DearOceanの創設者であるWoojin Chung氏は、次のように述べています。
生産者には、改善に向けた明確で信頼できる道筋が必要です。一方、買い手や金融機関には、その進捗を適切に評価し、十分な情報に基づいて意思決定を行うための、より質の高い情報が求められます。BEACONは、こうした双方のニーズをつなぐことで、責任ある行動、信頼できるエビデンス、市場や金融における意思決定の間の結びつきを強化していきます。
こうした連携は、国際的な水産物市場にとって特に重要です。
FAOによると、世界の水産物の3分の1以上が国際的に取引されており、欧州と北米は水産物の主要な純輸入地域となっています。
したがって、東アジアの生産や貿易に関わる漁業の持続可能性は、地域を越えて世界各地の企業、消費者、食料システムに大きな影響を及ぼします。
地域に根差した関係性を基盤とする広域連携
BEACONの5つの創設団体は、それぞれの地域において異なる専門性とこれまでに築いてきたネットワークを有しています。
BEACONは、こうした地域固有の知識と広域的な連携を組み合わせることを目指しています。漁業、水産サプライチェーン、資源管理の課題は国境を越えて広がる一方、解決策が成功するためには、それぞれの地域の実情を反映することが不可欠だからです。
香港サステナブルシーフード連合の事務局を務めるMandy Wong氏は、次のように述べています。
地域間の連携が機能するためには、それぞれの地域の実情に根差していることが欠かせません。創設団体はそれぞれ異なるネットワークや視点を持っています。BEACONは、それらの強みをつなぐことで、変革が必要とされる地域社会、市場、漁業の現場に根差しながら、共通の目標に向けて協働できるようにします。
この協働アプローチは、政府、地域漁業管理機関、科学研究機関、水産関連企業、市民社会、漁業コミュニティの活動に取って代わるものではなく、それらを補完することを目的としています。
BEACONは、関連するステークホルダー、エビデンス、実践から得られた知見を結びつけることで、既存のプロセスを通じた進展を支援します。
Ocean Outcomesのエグゼクティブ・ディレクターであるKelly Harrell氏は、次のように述べています。
私たちは、東アジアの団体がより効果的に協働できる仕組みを構築しています。科学、現場での実践経験、市場を地域全体で結びつけることにより、世界の水産物生産に影響を与え、持続可能性に関する共通のアジェンダを現実のものにしていくことを目指しています。
東アジアのパートナーとともにBEACONを立ち上げられることに、心から感謝しています。BEACONは、サステナブルシーフードに対する認知度の低さ、需要の弱さ、企業の関与の限定性という、長年続いてきた悪循環を断ち切るための、信頼に基づく協働の場を私たちに提供してくれます。市民社会がつながることで、自国で始まった変化が地域全体へと波及していくことを、私たちは共に示していけると考えています。
水産システム全体を変革するためには、分断された取り組みを乗り越え、市場の力を活用しながら、システム全体で説明責任を果たす方向へと進む必要があります。
BEACONは、地域各地の専門知識を結集することで、水産サプライチェーン全体における環境・社会リスクを軽減するとともに、革新的な技術やブルーファイナンスの可能性を広げるために必要な枠組みを提供します。
産業界とのエンゲージメントや技術的支援における私たちの活動をつなぎ、この地域的なパートナーシップを通じて、水産物市場、漁業、海洋の健全性に持続的な進展をもたらしていきたいと考えています。
東アジアに根差して活動する団体として、Ocean OutcomesはBEACONの創設メンバーとなることを光栄に思います。
貿易や国境を越えて分布する水産資源を通じて密接につながっている東アジアの水産システムに、前向きな変化を加速させるためには、協働が不可欠です。
BEACONは、そうした協働、イノベーション、課題解決の拠点となります。気候変動によって水産物を持続可能な方法で漁獲できるようにすることが、かつてないほど急務となっている今、その重要性はますます高まっています。
東アジアは、世界の水産物の生産、消費、貿易の中心に位置しています。
私たちは豊かな文化的遺産を共有し、周辺の海や広大な太平洋を通じてつながっています。また、環境面でも社会面でも、多くの共通課題を抱えています。しかし、知識やネットワーク、実践的な解決策は、しばしば分断されたままです。
BEACONは、これらの強みを結集するものです。中国で培ってきた私たちの経験を東アジアのパートナーと結びつけ、科学、漁業・養殖業の改善、市場、ガバナンスをつなぐことで、より持続可能な漁業と健全な海洋の実現を推進します。
東アジアは、単に世界最大の水産物市場や生産拠点として捉えられるべきではありません。東アジアには、世界の漁業や海洋が直面する課題の解決を牽引する原動力となり得る規模、影響力、知識、そして責任があります。
BEACONは、その可能性を実現するための地域的な連携の枠組みを構築しようとする私たちの挑戦です。国境やセクターを越えて人々と組織をつなぎ、それぞれの強みを結集し、分断された取り組みを集合的なインパクトへと変えていきます。
本日発足するBEACONは完成形ではなく、長期的な協働の始まりです。東アジアから世界へ、より持続可能で、公平性と説明責任を備えた水産システムを形づくっていきます。
Blue East Asia Collaborative for Ocean Networks(BEACON)は、青島海洋保護協会、香港サステナブルシーフード連合、Ocean Outcomes、DearOcean、株式会社シーフードレガシーの5団体によって設立された地域イニシアチブです。
中国本土、香港、台湾、韓国、日本、さらに関連する公海漁業を対象に、科学的エビデンス、漁業改善、水産サプライチェーン、市場、金融、ガバナンスを結びつけ、持続可能な漁業と健全な海洋の実現に向けた協調的な行動を推進します。
創設団体について
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DearOcean
DearOceanは、韓国・ソウルを拠点とする海洋分野のシンクタンクです。水産物および海洋分野のコンサルティング、サステナブルシーフードに関する調査研究、海洋リテラシー教育、プログラムの企画、セミナーの開催などを専門としています。公式サイト:www.dearoceans.com
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香港サステナブルシーフード連合(Hong Kong Sustainable Seafood Coalition:HKSSC)
香港サステナブルシーフード連合は、水産物の買い手と売り手が主導する業界連合です。責任ある水産物の調達と消費を推進するとともに、調達支援、能力開発、産業界とのエンゲージメントを通じて、香港、マカオ、および周辺地域におけるサステナブルシーフード市場の発展に取り組んでいます。公式サイト:hksustainableseafoodcoalition.org
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Ocean Outcomes(O2)
Ocean Outcomesは、世界各地の漁業と水産サプライチェーンの改善に取り組む、ミッションを重視した専門的なパートナー団体です。漁業コミュニティ、水産関連企業、政府、NGOと協働しながら、環境面での持続可能性の向上、労働環境の改善、レジリエントな漁業の実現を支える実践的な解決策を開発・実施しています。公式サイト:oceanoutcomes.org
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青島海洋保護協会(Qingdao Marine Conservation Society:QMCS)
青島海洋保護協会は、中国の非営利団体です。科学的研究、市民および産業界に向けた教育、情報や知識の国際交流を通じて、沿岸・海洋生態系の保全を促進するとともに、中国におけるサステナブルシーフードのムーブメントの発展に取り組んでいます。公式サイト:www.qmcs.org.cn
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株式会社シーフードレガシー(Seafood Legacy Co., Ltd.)
株式会社シーフードレガシーは、東京を拠点とする社会的企業です。企業、金融機関、政府、市民社会と協働し、日本および東アジアにおいて、持続可能で責任ある水産物市場への移行を加速させています。海の生態系、経済、社会のつながりを象徴する水産物(シーフード)を、豊かな状態で次世代に継承する(レガシー)ことを目的としています。公式サイト:seafoodlegacy.com
株式会社シーフードレガシー
コミュニケーション&ブランディング
冨塚 [email protected] (対応言語:日本語、英語)
DearOcean
創設者 Woojin Chung(対応言語:韓国語)
香港サステナブルシーフード連合
事務局 Mandy Wong(対応言語:中国語(広東語))
Ocean Outcomes
コミュニケーション・ディレクター Perry Broderick(対応言語:英語)
青島海洋保護協会
コミュニケーション・スペシャリスト Siyuan Zhang(対応言語:中国語)