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「日本自然保護大賞2026」の受賞者決定!

●日本一の自然保護、生物多様性保全活動を選ぶ「日本自然保護大賞」の受賞者を決定。

●今年で12回目。日本の自然保護と生物多様性の保全に大きく貢献した「日本自然保護大賞2026」の受賞者は、大賞・特別賞など計6件の活動です。

公益財団法人日本自然保護協会(理事長:土屋俊幸)は、自然保護と生物多様性保全に日本で最も貢献した取り組みを表彰する「日本自然保護大賞2026」の受賞者を決定しました。

今回は3つの部門に対し、全国から72件の応募をいただきました。いずれも熱意にあふれた活動が揃うなか、地域性、継続性、先進性、協働性、そして社会への波及性などに注目して慎重に審議いたしました。

特定非営利活動法人 藤前干潟を守る会(愛知県)

受賞テーマ「藤前干潟の保全活動」

活動は、1984年の名古屋市の廃棄物最終処分場として干潟埋立計画発表に始まる。伊勢湾奥にわずかに残る干潟に、渡り鳥が集まっていたことを知る地元のバードウォッチャーらが「藤前干潟を守る会」として活動を展開。観察会、環境アセスメントで市民調査データをもとに評価見直しの折衝、ごみ減量の提案など、鳥の生息地を守ることから始まった活動は社会のあり方を問う活動へと発展。市は1999年の埋立計画中止とともに廃棄物政策を見直し、市民の協力により大幅なごみ減量を実現した。保全後は「NPO法人藤前干潟を守る会」として、市の環境行政充実に協力し2002年のラムサール条約登録、2010 年の生物多様性 COP10 誘致、2025 年のラムサール湿地都市認証などに結びつけた。

特定非営利活動法人グランドワーク三島(静岡県)

受賞テーマ「汚れた「水の都・三島」の自然環境を地域協働で再生・保護 ―「水と緑の自然保護ネットワーク」を創造―」

1960年代の産業活動活発化による地下水の汲み上げで「水の都・三島」の水辺自然環境は悪化。そんな故郷の原自然・原風景を取り戻そうと三島市民・団体が、英国で始まったグラウンドワークを日本で最初に導入し、1992年「グラウンドワーク三島」を設立。以来34年間にわたり、市民・NPO・企業・行政との地域協働によって75箇所の環境保全が続く。市街地を流れる源兵衛川、富士山水系の湧水池が点在する境川などの3河川を中心に、生態系の循環・回廊性を拡大する「水と緑の自然保護ネットワーク」を創造。「環境の防人」の人材育成や、観光交流客数の増加にもつながり、自然保護が起爆剤になったまちづくりが進んでいる。

西宮市立山口中学校 モリアオガエル保存会(兵庫県)

受賞テーマ「モリアオガエルが教えてくれた、ため池がつなぐ命と地域の未来

 ― 生徒が動かした、ため池再生と地域連携の実践 ―」

西宮市立山口中学校モリアオガエル保存会のルーツは、1968年の理科部員によるモリアオガエルの死骸発見から。卵塊採取と飼育観察などが続けられてきたが2017年に理科部廃止、活動終了という危機に直面。2018年に生徒と教職員による「保存会」が発足した。活動は続いたものの、水辺環境の悪化や外来種増加によって産卵数は減少。「卵を守るだけでは未来は守れない」。その危機認識が池全体を守る挑戦の出発点となり、モリアオガエルを起点にしたため池の総合的再生の取り組みとなった。長期モニタリング、水質改善、外来種対策、産卵環境の創出を体系化し、成果をデータと発信で可視化してきた。モリアオガエルにとどまらず “ため池という地域インフラ”の再評価へ発展した学校発の取り組みは、地域へ波及する持続可能な保全モデルとなった。

九州大学 流域システム工学研究室(福岡県)

受賞テーマ「自然豊かな川をみんなの手で―科学・学び・共創で育む生物多様性」

治水を最優先した従来の河川改修は、人々の暮らしを守る一方、生態系や景観、川に根ざした文化、住民の川への愛着を損なうこともあった。九州大学流域システム工学研究室は、減災と自然環境の保全を両立し、「いい川・いい流域・いい社会」を実現するため、2003年の設立以来、住民、行政、学校、NPOなどと共創してきた。科学的知見に基づく環境・防災一体の川づくり、災害復旧、合意形成、環境教育を包括的に実践している。福岡県福津市を流れる上西郷川では、コンクリート二面張りの川を自然の営みを生かした川へ再生。調査で確認される魚種数は約3倍、個体数は11倍に増加。改修計画から始まり維持管理やイベント企画など川づくりの話し合いは150回を超え現在も続く。国内30以上の河川・地域で自然環境の保全・再生、川を軸とした地域づくりを実現。16年以上にわたる環境教育の受益者は延べ1万5千人超。学術研究・教育・社会実装を連動した成果は、教科書・行政資料にも掲載され、各地に広がっている。

株式会社Iーne、岩阪自治会、鉢伏山森づくりの会、大阪府森林組合(大阪府)

受賞テーマ「鉢伏山 Nature Positive Project」

かつては生活に不可欠な共有林が、放置による環境の悪化や2018年の大型台風による被害に直面し地域での自力再生が限界に。地域固有の入会地の再生に向けて、2023年に株式会社I-ne/森林組合が参画し、地域活動と企業の資本、林業の専門組織の技術を結びつける体制が始まった。都市近郊ながら、希少種を含め300種以上の生命が息づく自然共生サイトである鉢伏山での地域社会・森林組合・企業の協働による里山保全活動を展開。台風被害エリアへの地域性桜苗等の植樹、サイト内の希少種保護に加え、ヒノキ人工林にギャップを形成し埋土・散布種子から天然林への林種転換試験プロジェクトを実践。企業の参画と自然共生サイト認定を契機に地域活動団体の自律的な活動が活性化し、年間の延べ活動人数が増加している。

特定非営利活動法人棚田LOVERS(兵庫県)

受賞テーマ「生きものあふれる「いのちの棚田」を未来へ―20年の棚田再生―」

過疎・高齢化や後継者不足で耕作放棄が進み、地域から「あと5年で棚田がなくなる」との声が。兵庫県市川町の棚田とそこに息づく命を未来の子どもたちへつなぎたいと、2007年から地域住民とともに再生・保全活動を開始。草に覆われていた耕作放棄棚田23枚を再生し、農薬・化学肥料を使わず米育てを継続。棚田や水路・里山が連なるフィールドでは、希少種を含む180種以上の生きものが確認されている。2025年の比較調査では、長期放置した休耕田では25種に対し、再生・整備した棚田では73種と約3倍の植物を確認。継続的に保全・管理を行ってきた棚田ではさらに多い82種の植物種を確認している。人が関わり続けること、継続することの価値や意義を意識し、棚田での原体験、自然との出会いを通じ、いのちの棚田を未来の子どもたちへつなぐため、調査・保全・環境教育・担い手育成が循環する仕組みを目指し、地域での実践を全国に共有するオンライン企画にも取り組んでいる。

入選者

都道府県

活動テーマ

特定非営利活動法人ベルデ

東京都

青梅の杜から里山理念を実践・発信

三重県いなべ市教育委員会

(自然学習室 藤原岳自然科学館)

三重県

「自然教室の50年」と「自然学習園ふるさとの森」の維持・活用

一般社団法人 E.Cオーシャンズ

愛媛県

船でしか行けない浜辺の漂着ゴミを調べて伝えて拾う活動

湯梨浜学園中学校高等学校

鳥取県

ICT機器を使った鹿忌避効果で里山を守る

次世代のためにがんばろ会

熊本県

生きもの潟りから未来へ ― 地域と次世代を育てる25年

山川海のゆりかごを守る会

鹿児島県

海のゆりかごを守り、育て、つなぐ ~指宿・⼭川発 アマモ場再⽣の地域協働プロジェクト~

「日本自然保護大賞2026」 

主催:公益財団法人 日本自然保護協会

後援:国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)、自然保護憲章普及協議会

選考委員:

土屋 俊幸 日本自然保護大賞選考委員長/日本自然保護協会理事長/東京農工大学名誉教授

イ ル カ   IUCN国際自然保護連合親善大使/シンガーソングライター/絵本作家

神谷 有ニ 株式会社山と溪谷社 第2出版統括部統括部長

中静 透  東北大学名誉教授

藤田 香  東北大学 グリーン未来創造機構教授/大学院生命科学研究科教授

■日本自然保護大賞とは

2014年、日本で自然保護憲章が制定されて40周年という節目の年に設立されました。日本自然保護大賞は、地域性、継続性、先進性、協働性の観点から、優れた自然保護活動、生物多様性保全活動を表彰しています。人と自然がともに生き、赤ちゃんからお年寄りまでが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会をつくるためには、市民、学生、企業、行政、NGO、専門家など、さまざまな立場で、それぞれの特性を活かしながら、自然保護活動を進めていく必要があります。素晴らしい活動をより多くの方に知ってもらうことで、SDGsの達成やネイチャーポジティブの実現に向け、日本の自然保護を推進する力にしていくことを目指しています。

【保護実践部門】

自然や生物多様性の課題に対して具体的且つ積極的に取組み、保全や再生など、解決に向けて実績をあげることができた活動や研究。

【教育普及部門】

広く自然保護や生物多様性保全を目的とした教育普及で実績をあげることができた活動。

【子ども・学生部門】

自然や生物多様性の課題に対して、小学生から大学生まで、子どもや学生が主体的に取組んだ活動や研究。

※上記の大賞3部門の他、大賞に次いで選考委員から特に評価が高かった活動には「選考委員特別賞」を授与します。また、自然保護に尽力された沼田眞博士の志を未来に伝えていくにふさわしい活動には「沼田眞賞」を授与します。

自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。

http://www.nacsj.or.jp/